短歌8首

はっきりとはわかりませんが、1999年ごろから2015年ごろまで、町会の秋の文化祭に出した句のようです。


行く先は
近きにあれど知らぬげに
人は笑ひをり
酒を飲みをり
娘)
先日、父の日記帳から詩人伊藤比呂美さんの新聞記事の切り抜きを見つけました。
ご両親やご主人を看取ったつらい時期、ご両親にお経でもと勧めてみたのがきっかけで、お経を詩のように現代語訳していったというお話を書かれた「いつか死ぬ、それまで生きるわたしのお経」という本を出したというような記事でした。
父もいつか読んでみようと思ったのかもしれません。
その中で、日没無常偈(にちもつむじょうげ)というお経(?)の訳文が書かれていて「・・・人はあくせくと日々をいとなみ/いつか来る死について考えていない。・・・まださとらないのか。・・・」と書かれていました。
お経はやさしく響くこともあれば、怖く感じることもありますね、
ちょうど父の句を見つけた時期と、この本を読んだ時期が重なって、なんとやさしくほんわかとした、父の人柄が見えるような句だなぁ、とうれしく感じました。
親ばかならぬ、娘バカの一言でした!

秋風は
すだれ動かし
吹くと言ふ
昔のひとの
恋のかそけさ

十二単の色白の女性が思い浮かびます・・・


虫喰ひの
筆をそろへて
ことしまた
一首したため
秋を飾らむ

虫たちが
食ひをるならば
それもよし
薬まくほどの
ことはあらじな

酸化せし
小石拾ひて
帰り来し
白根のお釜に
雪の降るらむ

秋陽あび
柏おどりの輪が動き
運動会に
しばしの安らぎ

秋深み
読みたきを読み
書きたきを
書きつらねをり
こともなきごと

この歌が一番好きです!しあわせそうで。(娘


ユニクロの
千円といふ帽子買ひ
気ままに秋を
歩み来たれりこの当時は、この安さに驚いたものでした・・・。

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