2012年6月30日 / 最終更新日時 : 2023年4月28日 kinya 小説 ふと、女房の実体を考える 六つのとき、さらわれ自転車に載せられ そういう詩が出てくる。小説の主人公Kは、里子に出されていたが、乳母(おっか)は実家に返そうとしない。実家では学齢期を迎えた娘を強引にさらってくる。 実家には八人兄弟姉妹がいて、 […]
2011年10月21日 / 最終更新日時 : 2023年4月28日 kinya 小説 人称の出てこない小説 教室のかたづけをすませると、四時をすぎていた。 ひさしぶりだから疲れたでしょう、ゆっくり休んでね、店長さんにねぎらわれる。その親切にうしろめたさをぶらさげ、また来週お願いします。 あいさつすると、エレベーターで一階 […]
2011年8月27日 / 最終更新日時 : 2023年4月28日 kinya 小説 「もらうじゃねえど」 まわりに江戸っ子はいるのに、群馬特産の方言「が、ぎ、ぐ、げ、ご」を確かめられずにいる。左目が黄斑になり、出血があったりして 新しい療法まで辿り着けないでいる。何とか本は読む。 保坂和志の雑誌連載小説を読んでいたら、 […]
2010年11月20日 / 最終更新日時 : 2023年4月28日 kinya 小説 「百年文庫50冊」 まず何を買うか ポプラ社の創刊「百年文庫」の50冊が、でんと並んでいる。まず一冊を、と思ったところでどれがどれやら。タイトルは一字だけ。「憧」「絆」「畳」という具合。50冊目は「都」、ギッシングの「くすり指」がある。学生時代に縁のあ […]
2010年7月17日 / 最終更新日時 : 2023年4月28日 kinya 小説 楽しみだった東武博物館ホール 東武博物館ホールには何回も通った。墨田区東向島、上を東武線が通る音が、、かすかに聞こえた。 そこで早稲田大学名誉教授の紅野敏郎氏の近代文学講座が開かれていた。東武百貨店のメセナである。 ただし希望者が多いと抽選にな […]
2010年6月3日 / 最終更新日時 : 2023年4月28日 kinya 小説 籠原でカゴを乗り換えた 人生は、とにかくあっという間に過ぎ去って行く。百代の過客なんていう言葉を思い浮かべる。その過客の一人に絲山秋子という小説家がいる。小説に、その舞台の土地のことが詳細に出てくる。 かなり前の「ラジ&ビース」には群馬 […]
2010年5月15日 / 最終更新日時 : 2023年4月28日 kinya 小説 街行くオンナの品定め 陽光がサンサンと照るようになると、いつもアーウィン・ショーの短編「夏服を着た女たち」を読む。何年か前、同人雑誌に書いた感懐が出てきた。少しも偉くならず、少しも成長していない自分に気がつく。こんな具合に書いている。 […]
2010年1月18日 / 最終更新日時 : 2023年4月28日 kinya 小説 祈りながら書き継がれる小説 金光教(こんこうきょう)に入信している友人がいる。何年か前に、その金光教の信者である、作家の小川洋子の講演の載った新聞を送ってくれた。それを読んで、信者の中に生まれ育った彼女の、素直な信者生活を教えられた。それ以来、 […]
2008年3月17日 / 最終更新日時 : 2023年4月26日 kinya 小説 碌々として老いる 正宗白鳥に「塵埃」という超短編がある。近代文学講座の講師は、白鳥の紹介で、まずこの作品をあげた。新聞社の記者と校正係の付き合いである。ジンアイというタイトルに驚かされる。明治40年の作品、白鳥29歳で、文壇で最初に認 […]
2007年6月29日 / 最終更新日時 : 2023年4月24日 kinya 小説 竹川弘太郎『始皇帝暗殺【小説】壮士荊軻伝』 献上する土地の地図を政(のちの始皇帝)が見る。地図のなかには匕首が隠されている。燕の国の正使の荊軻(けいか)が、その匕首を取って政に躍りかかる。長剣を帯びた政はとっさには抜けない。逃げる政、空を切る匕首。 扉の外には武器 […]