「百年文庫50冊」 まず何を買うか
ポプラ社の創刊「百年文庫」の50冊が、でんと並んでいる。まず一冊を、と思ったところでどれがどれやら。タイトルは一字だけ。「憧」「絆」「畳」という具合。50冊目は「都」、ギッシングの「くすり指」がある。学生時代に縁のあったギッシングだ。それに最近、くすり指を戸袋に挟み血豆が出来ている。それだ、50冊目を試し買いした。
買ったのは北千住のマルイの紀伊国屋。たまたまか、「紀伊国屋書店スタッフが読んだ百年文庫」という小冊子が置いてあった。もちろん貰ってきた。
何年ぶりかのギッシングである。なんと小池滋訳の岩波文庫の転載である。学生時代に訳書などなかった。
読後、紀伊国屋書店スタッフの書いた感想を読む。無断転載するな、と書いてある。たまたま、ローマのホテルで知り合った男女が気持ちが寄り合ったところで別れさせられてしまう。女の心の動きが哀切である。以後、くすり指の傷がついてまわるだろう。
また、ギッシングに舞い戻ってみたいような気になった。
百年文庫は、字も大きく、手軽に読め、750円もいい。