やっと見た「硫黄島からの手紙」

 「兵士の着ている服が、きれいすぎる」と、当市にある「戦争を語る会」の知人が話していた。映画「硫黄島からの手紙」(クリトン・イーストウッド監督)を見ての感想だった。知人は激戦のアラカベサン島の生き残りである。
 たまたま別の知人が、その映画のDVDを貸してくれた。見終わって、どこがきれい過ぎるのか分からなかった。上官や栗林中将の軍服はまあまあに見えたが、兵士たちは汚れていた。
 ということは想像できないほどのボロボロなのが現実だったのか。
 「靴は脱いでハダシだったよ。米軍が上陸してきたとき、ハダシではみっともないから、そのときのためしまっておいた」知人はそう話した。映画でははだしではなかったようである。
 軍国少年だった当方は、この1時間半ほどのDVDを見るのに難渋した。結局、4回に分けて見たのである。恐ろしかったのである。いやだったのである。とても平常な気分で鑑賞できなかった。あとで、チャプター分けしてある部分ものぞいたが、現場はアメリカ本土での撮影だと思ってもやりきれなかったのだ。
 ひ弱な軍国少年、すべてを直視できない軍国少年は喜寿を迎える。

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