25歳の女性がスタート1年
さら職人展

成人式に初めて着た着物に、かっこよさを感じ、ボディボードのプロ志望から一転、伝統工芸の普及に乗り出したお嬢さんがいる。柏市の上田紀子さん(25=写真の女性)である。友人が集まり、着物好き増殖計画チーム「さらプロジェクト」を発足、着付け教室を開いた。おしゃれのレパトリーに着物をというわけである。さらに、伝統文化の中の職人芸と、その工芸品に興味を持ち、現地を尋ね、信頼関係を結び、その紹介と普及を始めた。「さら職人展」のスタートである。

萬祝2015

伝統工芸を紹介し、体験学習も

 結城紬の織り元を見学する。無形文化財なのに、裸電球の下で織っている。和紙の職人は、自ら楮の苗を山に植えていた。職人の技術にはかろうじて伝承される部分が多い。  それを柏に運び、展示・販売し、さらに職人技術を実演・公開してもらい、実習の講座を開く。こうして「さら職人展」は、回を重ねている。結城紬の奥さんは、地機(じばた)を運んできて織って見せた。桶を作る技術も公開された。江戸つまみ細工では、華やかなかんざし、ブローチが目の前で出来上がり、参加者を喜ばせた。結城下駄、和傘、江戸風鈴、東京友禅、房州うちわなどが相次いで紹介された。  「さら職人展」は、職人の技術の公開・実演とともに、伝統工芸の、柏からの発信地になった。発信地は、柏駅東口のサンサン通りにある寺島文化会館の1Fで、常設のように、毎月企画されている。  同館は、グループに活動場所を提供する文化施設、館長が紀子さんの叔父で、協力してくれるという。 

江戸つまみ細工

江戸つまみ細工

40年も江戸つまみ細工を作り続けているのは、市川市の穂積和代さん(66)、千葉県の伝統的工芸品製作者である。
ちりめんや藍染めなどの素材を使いかんざしだけでなく、バレッタやブローチなどの作品を現代人の感覚に合うように作っている。
 つまみかんざしは江戸時代から羽二重(絹)を使用して作られていたという。

萬祝染め

萬祝染めを体験

大漁のときの祝い着という萬祝(まいわい)。その萬祝染の体験教室では、千葉県指定伝統的工芸品の鴨川萬祝染の鈴木幸祐さん(写真の男性)が指導。のりでかたどった輪郭の上から色づけを実習、水洗いを終われば小さい萬祝染が出来上がる。 いまは大漁を祝う本来の需要はなく、工芸品として伝わる。



連絡先 寺島文化会館 04-7167-6153