ていぎつきだいまんだらく
庭儀付大曼荼羅供
観音寺に僧侶35名、5時間の大法要

仏造って魂入れず、という。仏像は開眼供養があって、本当の仏様になる。まんだら(曼荼羅)も開眼建立が必要である。

柏・逆井の観音寺では、まんだら両図の「まんだら供」が3月9日に行われた。2年前の本堂改修落慶と秘仏の観音像ご開帳で大法要が行われたが、その内陣の左右に、絢爛たる色彩のまんだらが「開眼」したことになる。

庫裡から本堂まで曼幕をはり、むしろを敷いた諸衆莚道進列は35名の僧侶が、法螺貝と雅楽の演奏の中を進む。これを庭儀(ていぎ)と言うようである。僧侶は登階、著坐して、5時間にわたる読経やご本尊の不動明王の周りを散花した。

真言宗の代表的な法要で、5時間という本格的なものはあまり行われない。参加した僧侶は、伝統保持と研究のために全国から参加した。

 

内陣を飾る1.50m×1.30mの胎蔵界と金剛界まんだら

観音寺のまんだら両図は、奈良の真言宗豊山派の総本山長谷寺にある桜の板木からプリントされている。それに仏師の山口明美さんが彩色した。内陣の荘厳さをいやますカラーフルである。

まんだらは、梵語で【壇】の意味。密教の複雑な教義を壇の形式に型どって図示している。

写真(右)が慈悲の世界を示す胎蔵界まんだら、胎児が母体の中で成長していくように人間が悟りへ進んでいくことを示している。

写真(左)は知恵の世界を象徴する金剛界まんだら、仏の力が煩悩を打ち破ることが金剛(ダイヤモンド)のように強いことを示すという。それぞれ、大日経、金剛頂経をよりどころにしており、悟りの境地の図解となっている。

逆井の観音寺 ご本尊は不動明王。観音堂には、午年にだけ開帳される秘仏の十一面観音がまつられている。真言宗豊山派安楽山誓光院観音寺は、文禄4年(1595)に、1キロほど手賀沼寄りの中島というところに開創され、寛保2年(1742)に現在地に移った。