忘れた歌を思い出す
短歌誌 「島田修二の志を継ぐ 草木」の、同人の友人が新年号をを送ってくれた。名古屋で行われた第六回草木短歌会全国大会が報告されている。友人は運営委員なので、89名が集まり大変だったようだ。選者選歌の中の二首。
危ぶみて支える母の両の手の温もり愛し花冷えの朝
戻るすべ知らぬ桜がベランダの椅子にふりつむ夕陽の中に
時評というページで、修二の一首が論じられている。
まつすぐにのびやかに或は口ごもり生きつつあると歌ひをさめよ
のびやかの対語が口ごもりだろう。試行錯誤の歌の道か。ついこの間まで歌会の日があったが、大半が年齢とともに退会し、交通事故もからんで解散した。その「ついこの間」までを思い出した。晩年の修二と交渉のあった友人の一首。
四谷駅イグナティウスの教会の鐘の音ひびく蕎麦を待つあはひ
洋と和のひびきよし。また、短歌をやるか。決心しないとできぬ男あはれ。