一家の愛が建てた美術館

沼南町大津が丘の中村順二美術館が平成16年12月で1周年を迎えた。ダウン症のため27歳で亡くなった次男が描き続けた500枚に及ぶ絵を、父の中村勝さん(64)=写真下段=が美術館を建てて公開している。

ダウン症の次男の絵を常設する
中村順二美術館

虫たちの絵

太陽のかくれんぼの絵

(左)蟲たち(右)太陽のかくれんぼ

順二さんは、午前中に下書きし、午後に色をつけた。1日1枚のリズムで描いていたという。どんな思いを込めていたのだろうか。(右)の左に白い光が入っているのは蛍光灯の反射です。
美術館の左は、兄の卓也さん夫婦が担当するカフェになっていて、コーヒーなどが楽しめる。訪問者は、ここで順二さんの絵というものに思いめぐらす。

2階が住居、一家を挙げての美術館である。

16号線ぎわ、車が疾走しているけれど、中は静かである。壁の中に土を捏ね入れたそうで、外部の音は遮断されている。クリの木の柱、太いナラの梁がほっとさせるような雰囲気を出す。150平方メートルのギャラリーに、21点の水彩画が展示されていた。1ヶ月ごとに展示替えをするという。

ダウン症で知的障害のあった順二さんは、小学校のとき、母親の勧めで絵を描き始めた。指導していた日本画家の北尾君光氏(守谷)は、「分別や技術にとらわれない、本質的な美しさがある」という。

半分は貸しギャラリーで、長縄えい子・久保年弘二人展などが開かれた。カフェではコンサートも行われる。

電話04-7106-7272

中村勝さん