巨大水槽を探検

洪水集め江戸川に放流する首都圏外郭放水路

G-CAN内

地底17m、幅78m、長さ177m、サッカーグラウンド2面の広さの巨大水槽の底で、見学と探検をかねて地底文化フォーラムを開くと言う。寒いぞ、いっぱい着込んで来いと言われ、埼玉県の東南、庄和町の地底にあるという江戸側沿いの国土交通省首都圏外郭放水路に出かけた。

豚汁をいただき、ポッカポッカのカイロまでもらい、中にトイレはないから、済ませておくよう念を押され、百十段の階段を慎重に下りた。極寒のはずなのに、薄着カルテットの和やかな出迎えに驚いた。フォーラム主催者が言う「神秘的でパルテノン宮殿のよう」なのは納得できたが、地底は本来暖かいのじゃないか、と思い歩く。

埼玉県の中川・綾瀬川流域の浸水被害を解消するために、五つの立坑を建設、溢れる洪水を、この水槽に集め、江戸川に放水する。水のない水槽の底は、さすがにひんやり。パルテノンよりぐんと堅牢か、太い柱が59本、地の果ては暗くて見えない。

このテッペンまで洪水が流れ込み、貯水されると聞けば息が詰まりそうになる。コンクリの無機質な風景は、やはり神秘的。

庄和町(春日部市に合併)の地底にパルテノン宮殿

G-CAN外観

溢れる洪水を集める立坑が5か所、これもデッカイ。内径10m、深さ70m。この立坑の水は国道16号の下50mにある内径10mの水路6・3キロを通って水槽に流れ込む。写真上の建物が排水機場、ここでガスタービンエンジンでオリンピックプールほどの水量なら1秒間で江戸川へ排水する。ただし、タービンは現在2台(4台になる)である。

見下ろす江戸川はいい景色である。機場は龍Q館という広報施設になっていて、地底体感ホールなどがある。庄和町では、周辺を水辺の丘と名づけて町起こしの「名所」にする方針のようである。散策にも絶好である。

見学は 『〒344-0002 春日部市樋籠字柳原997彩流館(TEL:048-763-4416)』 に問い合わせのこと。