逢いたしと思えど春や雪女

  雪女が好きである。ただし、まだ会ったことがない。残念である。
 読売文学賞をもらった、真鍋呉夫さんの句集「雪女」は、平成4年に世に出た。
   雪女見しより瘧をさまらず     瘧=おこり
   雪女ちよつと眇めであつたといふ  眇め=すがめ          
 そして有名な一句
   花冷のちがふ乳房に逢ひにゆく

 その真鍋さんが昨年の秋に新聞に載せた雪女、
   降りつもる雪かと見れば雪女
 雪女に会えるには雪心がなくてはだめのような、いや寂しい。これは新聞の投句である。
   狐火も雪女郎にも逢はで老ゆ
 お寂しい。ご同情申し上げる。でもいきなり女郎さんとは望みすぎか。

 当地柏市を基地とした「冬草]と言う俳句の全国誌があった。主宰者高橋謙次郎氏の死去で解散、いまは各地で、それぞれの集まりを開いている。柏市では松葉町近隣センターで「あづさ句会」を開いている。
 その高橋謙次郎氏の雪女の句を。
   雪女鏡の奥に見失ふ
    佐渡で
   潮騒に足をとられて雪女
   雪女月光に顔そむけしは