新米はうまいのである
茨城県の水海道(いまは常総市)の女房の実家から、甥が新米を届けてくれた。この時期、毎年新米を食べさせてもらっている。水海道米として味わい、食が進んでいる。
戦争末期、山形県に疎開した横光利一に、日記体の「夜の靴」という作品がある。小説ではなく村の様子を克明に記録している。
部屋を借りている農家の主人に、食事は一日四杯で足りる、というと、「人じゃないの」といわれる。ある朝、その主人が「二升米食うやつがあるか」と怒鳴っている。新米に代わった日、次男が二升ひとりで食べた、という。
新米はうまいのである。なるほどわかる。
でも横光の記録は、これだけで終わっているわけではない。