世にも幼き水兵さんがいた

  数え年14-16歳で海軍を志願し、世にも幼き「水兵さん」となった「特別年少兵」がいた。
 その第一期特別年少兵だった人の著書に、「あヽ海軍特年兵」があり、その一部を抽出したプリントを読ませてもらった。その訓練のすさまじさと、パラオを出港してからの実戦の強烈さに、これが戦争かと戦慄を覚えた。
 駆逐艦「磯風」の勤務である。戦艦「武蔵」を護衛する。「武蔵」に危害を与えるものがあれば果敢に突撃して容赦しない…。敵からの雷跡を発見する。その魚雷めがけて突っ込む。「武蔵」の深度に合わせてあるらしい魚雷は喫水の浅い「磯風」の艦底を抜けて「武蔵」に命中するのだ。
 攻撃機が戻ってくる。しかし母艦がいない。いても甲板が穴だらけで着艦できない。次々に海中に突入してしまう。戦後になって得た知識も挿入されたのだろうが、年少兵の様子が写し出されている。第一期生の年少兵の姿が偲ばれる。

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