裕子さんを喜ばせた温泉卵

 永田和宏さんの「河野裕子と私」(「波」5月号)が終わった。12回、この歌人夫婦の最後を読ませてもらった。
 裕子の、こういう歌が出てくる。

  どこまでもあなたはやさしく赤卵(あかたま)の温泉卵が今朝もできました

 温泉卵が食べたいと聞き、和宏さんは挑戦する。
 「そこで温度と時間をそれぞれ三段階ずつ振り、最適の条件を探した。こんな〈実験〉お手の物である。」
 中の一個がいい具合で、裕子は「大喜びである」という。裕子が喜び、食が進めば、それが「生活のめりはりになっていたのかもしれなかった」「褒めてくれることが何よりうれしかった」
 難しいけれど、三段階の設定で、温泉卵に挑戦してみようか。