「しみつかれ」と「すいとん」


 初午にはちょっと早いが、今年も栃木の郷土料理「しみつかれ」をいただいた。節分の豆の残りを使い、鮭の頭、あぶらげを使い、ダイコンを鬼おろしですって煮込む。毎年いただくので、すっかりなれた。何か底知れぬ郷土の味覚に、それを育ち盛りから味わって来た人たちがうらやましい。
 かなり食べてしまってからの写真である。もっとどっさりいただいた。

 郷土料理ではないが、ぎりぎりの歳末、近くの逆井浅間神社に逆井中の生徒二百数十人が浅間神社、天神様、弁天様の清掃に来る。学校ボランティアの「十色(といろ)咲かそう会」のおばさんたちが、大なべふたつに芋煮を作って食べさせる。
 地区の人たちも新年を迎える神社などの準備もする。もうもうと立ち上る煙のなかのごちそうである。おばさんたちの腕は確実で、前日に用意された「すいとん」がうまい。
 「すいとん」という言葉に、ふと戦時中の食べ物不足を思い出すのは私だけか。
 芋煮の味としみつかれ、とにかく巳年を迎えられたことに感謝している。