利根運河の「よい人たち」


   流山の利根運河を散歩する人たちを柏市のグラフィック・デザイナー中村哲夫さんがスケッチした。「利根運河いい人たち」。そのスケッチは、流山の「杜のアトリエ黎明」で公開され、「利根運河交流館」でも展示された。真夏だった。秋になって中村さんは急逝された。

 12月に流山・森の図書館で、「いい人たち」が展示され、遺作展ということになった。70点ほどのスケッチがギャラリーを飾った。スケッチされた人々には差し上げることになっていて、希望者にもお渡しした。
 それでも少し残った。奥さんが運河交流館に運び、希望者に差し上げることになった。浮橋を渡る親子連れも、そのスケッチである。この親子連れが、ブログを見たら差し上げなくてはならない。この70枚を越すスケッチを描いた中村さんの気持ちを思う。空に白雲、緑の土手、風が吹く。寿命が迫っていたことなど知るはずがない。

 中村さんの著書は多い。写真、ペン画、水彩画、墨絵。それを文章が本にする。残されたものを見せてもらった。その膨大さに驚き、グラフィック・デザイナーの足跡を偲んだ。
 「よい人たち」を描いたけれど、悪い人もいるんだろうね。ふともらした言葉が懐かしい。