忘れていた削り節の香り
昔、よく鰹節を削らせられた。何に使うのか、知らなかった。一番身近だったのは、母親の弁当作りが遅くなると、削ったものをご飯の上にまき、醤油をかけて登校した。たくあんなどの弁当も多く、その匂いが教室にこもっていた。
裕福ではない農村の昔が懐かしい。
年末に香典返し?で、日本橋木屋の削り箱をいただいた。まあ自分で選んだものである。あまり堂々とした削り箱なので、ちょっと驚いた。
娘が日本橋にんべんの鰹節を買ってきた。
早速削った。そして驚いた。繊細な削り節が続く、続く。芸術的な、そして香気が漂う。すごい。忘れていた本来の削り節の出現である。
でも考えてみれば、我が家の食生活の貧しさを見せられたことになる。削り節の香りなどを忘れていた食生活。
和食の人気が高まっているという。外国人向けだけの言葉ではあるまい。削り節を味わうのも楽しいものと知る。