築80年柏銀座の民家
銀座は、どこにでもある。柏市にも90商店が加盟していて50数年の歴史を持つ銀座通り商店街があるという。柏駅前通り、サンサン通り、それに二番街あたりは知っているけれど見当もつかない。その銀座で昭和3年に建てた民家を壊すので公開するから見て来い、と日本建築学会の知人にいわれ出かけた。
三方をビルに囲まれた隠れ家の趣き
柏銀座通りは柏神社のわき道を入る。秘密めいた感じがする。そこから九十ほどの店舗が両端にぎっしり並び、まとまった商業圏を出現させている。1丁157円の豆腐屋、せんべい屋、八百屋、料理屋、飲み屋、それに映画館まであるのだ。そのはずれに築80年の家はあった。
狭い路地を入ると、木や草の緑に覆われた120坪の右寄りに、南西向き25坪の二階家が立つ。通りから隠れていて、時間が止まったような感じになる。パン屋さんだったが、それをやめてから家全体を奥に移動させたそうである。
娘の勝矢ひとえさんの住まいになっていて、来年には家を壊すことになり、その前に「この家の見てきたもの 写真と古い家でたどる柏と家族の80年」というビラを作り、昭和の空気を吸ってくださいということで公開することにした。
一階の居間には神様と仏壇、離れたところで北東に向き呵呵大笑した不思議な鍾馗様が見下ろしている。二階には同時に5人以上は厳禁、上がると廊下、八畳ほどの部屋の床の間に郵便配達夫だった祖父のマント、帽子、それにわらじが置いてある。
三方を高いビルがせまっている。入り口は路地だけ、夢幻のような隠れ家である。
この民家は柏まつりの二日間公開された。