窓の明りで本を読む少女
窓からの光りの中で「牛乳を注ぐ女」。フェルメールは、黄、青、赤の色彩の取り合わせ、梯形のテーブルなどで画家の工夫を見せる。国立新美術館では、これをかなりていねいな解説つきで教えてくれる。
17世紀の「オランダ風俗画展」では人々の生活状況を描いた116点が並ぶ。ぎりぎり近づいてめがねを出して見るが焦点が合わない。離れすぎなのだ。牛乳の女にしても45.5×41センチなのである。
版画では足元に制止枠がなく、至近距離からじっくり鑑賞。布の襞取りをする若い女、料理をする女、糸を紡ぐ女、磨き仕事をする女、縫い物をする女、魚売りの女、皿を洗う女など、徴に入り細をうがつ。
最終章は19世紀後半のリアリズムの風俗画。伝統は生きている。「ハーグの画家の家の地階」というのは台所か。奥に人が見える。何か懐かしい。「アムステルダムの孤児院の少女」がいい。窓からの光を受けて、立ったままの少女が本を読む。孤児院が「ジェーン・エアー」を思いださせる。
風俗画展という言い方に違和感。絵画はすべて風俗画ではないか。山川草木にしても。