思い出に出会える美術館
松戸市長が市の広報で絶賛し、柏市の教育長も見学に来たユニークな美術館が、新松戸のダイエー近くに開館して3か月がたつ。
人気のあった挿し絵画家や絵本作家の作品を集め、「昭和の出版文化の華」として、原画や複製や掲載誌を展示する「昭和ロマン館」。SF画の先駆者といわれ戦記シリーズで軍艦など克明に描く小松崎茂、それに中原淳一と人気を二分し、少女の夢を描いた松本かつぢの常設が中心。
しかし、小松崎といい、かつぢといっても、昭和の不幸な時代を過ごした世代にはピンと来ないところもある。美術館では、この世代のためにもサービスに手落ちはない。
なぜ一美術館開館に市長が見学に来たか。これは市民活動の促進を図るためにできた特定非営利活動促進法(NPO法)によって出版美術文化振興会が運営しているからである。館長の根本圭助さん(柏市在住)は、幅広く活躍するイラストレーターで、思い出と出会える美術館にするという。
志村立美、岩田専太郎、初山滋、武井武雄の絵が豪華に壁に並んでいる。田代光、中一弥の挿し絵。キング、講談倶楽部、奇譚、富士、少年倶楽部、少女倶楽部、講談社の繪本がある。山中峯太郎「敵中横断三百里」や「黄金バット」も。 3か月ごとに企画展で展示替えもあるようだが、昭和を駆け抜けて来た世代にも、ほっとする世界が開かれている。次の一句は松戸市長見学の即興らしい。
幼な日の挿絵のかかる夏館