手賀沼のほとりに白樺文学館
大正時代に手賀沼の美しい景観に魅せられた文人たちが、我孫子に住居をかまえた。素朴な日常雑器に美を認め、民芸という言葉を普及させた柳宗悦が志賀直哉を呼び、直哉が武者小路実篤を招いた。この3人が文芸同人誌「白樺」で活躍した。また、滝井孝作、中勘助も住んだ。
ことし1月に直哉旧宅前に、3階建ての白樺文学館(写真上)がオープンした。コンピューターソフト会社日本オラクルの会長が私財を投じたもので、3千点という白樺派ゆかりの原稿や書簡、書籍を公開、展示(写真下)しており、閲覧、読書ができる。
我孫子を「若き文芸闘士の一大拠点」だったとし、「さあ、彼らの息吹を吸おうではないか」と勇ましい。意外な書簡の展示もあるから、「息吹」を読むための散策にいい。
直哉旧居、文学館があるのは成田への旧道、昭和になっても、すぐそこまで沼が広がっていたという。家が建て込み、旧居は陰鬱な景観を見せている。文学館は、木曜日休館。