縁日に旅芸人も来た

へら鮒センターの金刀比羅神社

 ♪金比羅船々 追手に帆かけて シュラシュシュシュ

 奥社まで1368段、本宮までも785段の階段を登らなければならない四国は香川、琴平町の金刀比羅宮。海の神様だが、庶民信仰は全国津々浦々にまで及んでいる。

 すぐそこに信者が分宮した祠がある。秋の日を浴び拝ませてもらいましょう。


 「正月10日の縁日には幟が立ったし、夜店も出たし、旅芸人まで来てにぎやかでした」逆井小と背中合わせにある「へら鮒センター」の日暮一雄さんは、懐かしそうに昔を語る。

 その幟が立ったという金刀比羅神社は、同センターの入り口のつきあたり、林を背に鎮座している祠。

 縁日に旅芸人が来たのは、昭和10年ごろまでの話のようで、逆井の村人の信心を集めていたという。

 明治の初期に日暮六兵衛家4代目が分宮、5代目が改築、7代目の当主一雄さんが昭和52年に草屋根を銅板亀甲型に改修した。外屋根に守られた、可愛い祠である。

 山あいの畑ばかり、それに木々におおわれているから日照不足、雨が降るとぬかるみになる。そこにへら鮒センターを作ったのは釣り好きの7代目、昭和32年のことだった。 面積600坪、最深部3メートル、井戸3本で5~60メートルから水を汲み上げている。泳いでいるへらぶな4万匹、110人の釣客OK。繁盛ぶりは金比羅様のおかげ?いいえ、信心は商売とは関係ありません。日暮さんは、そういうのである。


こちらは鳥居もある改修


 船戸木戸のバス停から医王寺に行く道の右側に、ピッカピカの神社が出現した。大理石の輝くばかりの鳥居が信心よりも、興味津々の散歩者を招いているようでもある。

 増田堅太郎さんが、屋敷内にあった、先祖が明治10年ごろに建てた金刀比羅宮を改修した。祠は2つ、1つは伏見稲荷である。小さいけれど、本格的な宮大工さんの仕事、昨年の11月に完成したばかりである。