重の内暖にして柏餅


高浜虚子の一句である。お重の中の柏餅がまだ暖かい。柏のハッパの香りもする。柏は古来神聖な木とされ、樹木を守る葉守の神が宿っていたとされる。なるほどと、歳時記を拾い読みした。
その柏餅を食べる話である。家人が成田の有名な和菓子店の、近くにある支店に買いに行った。すぐ娘が来て、駅前の近辺では評判のいい和菓子店から土産に買ってきた。二十個が揃った。
娘の買ってきたのは、虚子の句のように暖かい。支店のは冷たい。これはどっちがいいということにはならない。製造場所の距離の違いだけでやむをえない。
支店のものは、アンを中に入れ、まんまるである。大福のごときものである。娘のものは、アンを挟んで包んである。この方が柏餅らしい。懐かしい。支店のまんまるは、昔からの製法なのかもしれない。
6月5日には、野田の上花輪歴史館で、同館内の柏の古樹の葉を使った柏餅が食べられるはずである。
写真はまんまると、包んだもの。食味は? さて。