世田谷・砧公園のタンポポ
用賀駅から、でっかい鬼瓦の居並ぶ「いらかみち」をたどって砧公園の一角にある世田谷美術館に行った。同人雑誌の友人の写真展「写真の地層」展を見るために。その中の一つ。森の木の一点を凝視する。その凝視を深めていくと、焦点のなくなった視界に到達する。あるいは逆かもしれない。それを十数枚に並べて床におき、あるいは壁に貼る。森の中の幻想だと思って眺める。写真家の意図とは違うのかもしれない。
企画展は、「ウナセラ・ディ・トーキョー」。7人の写真家による―残像の東京物語1935-1992。800枚に辟易する。風景、風俗。なるほど、「大都市の本質を見極める確かな眼を持つ共通点」はあるだろうが、だんだん疲れてきて、残像ゼロに近い。友人の写真展だけでよかった。欲張るなかれ。
広大な砧公園。391.262.26平方メートル。だから何坪? 歩道の、よく手入れされた草地に、タンポポが咲いていた。よく見れば、という芭蕉の心境?で、よく見れば、めずらしやカントータンポポ! 帰って調べたらやっぱりセイヨータンポポらしい。それにしても、タンポポはほとんど見かけなかった。