蛇の子を身ごもった!
真夏のような日差しになった5日、野田市の上花輪歴史館の玄関前、この日まで歴史館では、月遅れの端午の節句の展示が続いていた。ひさしにショウブとヨモギが置かれている。昔、みんなそうやったな、女房と見上げていると、おじさんが来て一緒に見上げる。
おじさんの問わず語り。娘が身ごもってしまう。母親が、今度来たとき、その蛇オトコに糸をつけさせる。糸は蛇穴に通じていた。母親が蛇の穴の中をのぞく。中では蛇の親が、人間は怖いんだから、人間に化けて娘さんをだましてはいけないよ、と息子の蛇を諭している。
息子は、娘はもう身ごってしまったよ、俺の種を植え付けてきた、といっている。
蛇の親が言う。ショウブとヨモギの煎じたものを飲ませるといいんだ、と。
それを聞いた娘の母親は、家に帰り、聞いた通り、ショウブとヨモギを煎じて身ごもった娘に飲ませると、ドロドロと蛇の子が流れたんだとさ。
あれは、俺たち子供に性の話をして教育していたんだね、きっと。
古事記の崇神天皇の項に、娘が身ごもる話がある。父親が麻糸を針に通して、男の着物の裾に通せという。糸は三輪山に通じ、神の子であることが分かる。おじさんの話と通底する。この話、茨城の結城に近い栃木の話だよ、という。
そのとき、おばさんたちのグループが来る。おじさんの俳句のお仲間だそうだ。「きょうは俳句を作りに来たんだよ」おじさんは、そう言って手を振った。吟行か、いいねえ。いい話をありがとう。ひょっとすると、おじさんは蛇おとこ?
5日は、月遅れの柏餅が提供される日。館内にある柏の老樹の葉400枚を使った柏餅と抹茶セットをいただける。蛇おとこも柏餅を食べるかな。