「清大姉」の清が抜けていた

 お盆が近いからというわけではないが、戒名の話である。
 法事で親戚の家に行った。お寺で法要が終り、新しく建て替えられた墓に塔婆を運んだ。墓石は真っ白な布で包まれていて、坊さんが読経した。墓碑も新しい。そこに刻まれた先々代の夫婦の戒名をを見て、いつもわが家の仮設仏壇で読んでいる戒名と違うのに気がついた。一字多いのである。
 先々代は、院号3、道号2、法号2、さらに2文字あり、終りは「善居士」で終わる。妻の場合、院、道、法、さらに2文字続いて、大姉で終わる。比較すれば「善」一文字少ないのである。夫婦並べたとき、一字少ないのは女性だからと思っていた。しかし、新墓碑には「清大姉」とあり、夫婦揃って12文字となっている。(この「さらに2文字」は、何と言う号なのだろうか)
 わが家が写し違えたか、あとから坊さんが付け加えたかは定かでない。先々代は、遠いあの世だし、先代も送り届けたばかりである。
 梅雨の合い間の曇り空に、線香の煙が漂っているが、ひるがえって、わが身の戒名を模索した。
 戒名もいりません、墓もいりません、それではどうする。あの世から、ただ眺めることになるのだろうか。