風に揺れる記憶


 同人雑誌の面々も参加して、絵を書き写真を飾り詩を紹介する「京浜の新しい風 エコール・ド・川崎展」。植物のオブジェも三つ、これはその一つだがプロの作品である。広いフロアに300個、三角形のように置かれているが、これは部分である。
 澤田佳与子さんが、ふるさとの笛吹川で採集した小石に、漂白柳の枝を分解したものを貼り付け、先端にネコジャラシをつけた。澤田さんは、「記憶の残像」というタイトルをつけ、「川は姿を変えながら、絶え間なく流れていく。水は石を削り物を運ぶ。消え入りそうな記憶の中に、風に揺れる物。」というコメントをつける。
 川原の小石に水引を掛け、紙の押さえや置物にするよう送ってくれる小学校時代の先生を思った。フロアに座って笛吹川の小石を眺め、ネコジャラシに息を吹きかけた。揺れる。扇風機の微風があれば、300のネコジャラシが揺れるだろうに。記憶の残像が動く。
  夢はいつもかへって行った
  山の麓のさびしい村に

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