スケッチではなくSF画


 「小松崎茂 昭和の東京」(ちくま文庫)で、克明な東京のスケッチに、田舎育ちは昔をしのんだが、すでにスケッチとは別世界の小松崎の未来SF世界の緻密な画像に親しんでいた。
 松戸市の新松戸に、出版美術文化の殿堂という「昭和ロマン館」があり、小松崎茂と松本かつぢの原画を中心に展示していた。サンダーバードなどプラモデルの箱絵などで少年の夢を描き続けた小松崎のSF画の壮観さに目を見張った。
 もっとも足繁くロマン館を訪ねたのは、岩田専太郎など、有名画家の挿絵や絵が、それに昔の雑誌が見られることにも興味があったからだが…。この館長が、ちくま文庫の編者・解説をしている根本圭助氏だった。
 新松戸・昭和ロマン館は、いまはない。小松崎の未来SF画40数枚だけを展示した新・昭和ロマン館が松戸市小金清志町3-59浅野工務店本社ビル2階(電話047-341-5211)にある。
 昭和の東京スケッチとはまったく違った空想世界だが、克明で緻密と言うことでは似通っている。

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