歓喜仏さんお寒うございます


 大寒やたゞひたすらに歓喜仏
 大寒の日、西日が当たっていたが、寒気は全山を覆っている。ただひたすらに抱き合って暖をとろうとしている。いや、ただひたすらに春の到来を待っている。
 もちろん歓喜仏ではない。檀家のだれかが、いつの時代にか、石像を預けたということらしい。春になると多少雑草も生え、姿は隠れる。ちょうど反対側に寺の名物牡丹が人目を引き、見る人はいない。ただひたすらに二人だけである。
 折からの大雪、うずまったところを見たら気の毒である。雪は暖かいか。
 写真と一句を、ここで牡丹時に吟行する句誌の代表に見せたら、返歌をいただいた。
  托鉢の底にたまれる寒さかな

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