君はヘッピリムシか

 初詣は、うぶすなの富士浅間神社。新開地の住民なれど、毎年、コノハナサクヤヒメに賽銭をあげ、二礼二拍手一礼し、村人だった人にお神酒をいただく。
 外では炎が上がり、昨日まで神棚にあったお札が燃やされる。デッカイ焚き火である。焚き火は懐かしい。市から焚き火禁止令が出ているから、家庭ではできない。大人も目を輝かしてあたっている。暖かい、とはいいことである。
 戌年、狛犬さえ見る目が違う。がんばってくれよ、おれもがんばるから。
 と、狛犬を見れば、なんと、春夏秋の畑の害虫三匹が頭にいるではないか。とっくに人家や納屋にもぐりこんでいるはず、しかも死骸ではない、動いている。くさいぞヘッピリムシだ。炎からは遠い。寒くないのか。
 背中にハート型の紋をしょっている。調べてみた。エサキモンカメムシで、悪臭を発散するので嫌われ者だが、メスは葉の裏に80個の卵塊を生み、成虫越冬すると言う。メスは卵塊を自分の体で覆って守り、母性愛で有名とか。
 それにしても寒かろう。このヘッピリムシとの元旦の出会いは、何を暗示するのか。もう一度、コノハナサクヤヒメに賽銭をあげ、お聞きしたい。

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