50年分をこの一冊に

 上のタイトルのような雑誌が出た。「室内」の最終特別号である。あの山本夏彦氏の出していた「室内」で、建築?の専門誌である。見たことも買ったこともなかった。
 50年分を一冊にしたのなら、門外漢の興味を引くところもあるだろうと思う。ヤジウマである。
 「キッチンを囲んで」というのは最終号の特集。家の中心にキッチンを置いた6軒の実例、設計図付き、レシピもある。ただ羨望あるのみ。
 「夏彦が匿名で書いた幻の写真コラム集」がある。「デザイン戯評」で、「便器は前人未踏」など。神州清潔の民には、和洋折衷型がいいという。昭和42年。
 「言葉のいずみ」では、はっきり意味を知らない言葉などが40頁ほど紹介されている。1頁に7-8個もあるから300項目を越す。もちろん建築用語もあるが、奇妙なものが目立つ。
 居候、おけら、かっぱ、木口小平、腰巻、茶番、番傘、奴さん、などなど。
 最後にあるのが「和風」。「…ニセモノの和風が存在するから成りたつタイトルなのである。一億総ニセモノとなったいま、誰にもほんものとニセモノの区別はつかない。」