さんしゅうの花はこまかい
友人が深大寺に吟行に行き、山茱萸(さんしゅう)の花の写真を見せてくれた。講談社版の日本大歳時記に、長谷川素逝の句がある。
さんしゅうの花のこまかさ相ふれず
名だたる俳人が、みんな山茱萸を使っているのに、素逝だけひらがなである。それに素逝の「逝」は二点しんにょうと歳時記にはあるのに、出身地・津市の紹介でも「逝」と一点しんにょうになっている。
坪内逍遙や釈迢空の二点しんにょうはあるのに、逝のに二点しんにょうはATOKには出てこない。素逝さんには我慢していただかざるを得ない。
津市の伊勢湾海洋スポーツセンターに、素逝の句碑があるという。
遠花火海の彼方にふと消えぬ
明治40年生まれ、昭和21年、40歳で死去。虚子はその死を悼んで、
まっしぐら炉に飛び込みし如くなり
と詠んだと言う。落葉を詠んだ句が多かったので、「落葉リリシズム」と呼ばれたと言う。
いちまいの朴の落葉のありしあと
おぼろめく月よ兵らに妻子あり
友人の吟行の結果は聞いていない。