子どもみこしで夏の終わり


 子どもみこしに続いて、さかなみこし(写真)、どんじりは山車。真夏日の午後3時を可愛いパレードが町会を一巡し、夜は盆踊りで町会の夏が終わった。
 わが家の前がパレード・コース。強烈な西日を浴びてベランダで撮る。この動きが早い。あっという間に、子どもみこし、さかなみこし、幼児を乗せた山車が通り過ぎた。須叟の間である。人生も須叟の間である、と溜息をつくには暑過ぎた。
 この思いは最終日の盆踊りまで残った。「卑弥鼓」という名のお母さんグループ8人の、強烈な太鼓の響きに乗って、公園いっぱいに踊りの輪が動く。二重、三重である。 
 どこかで、ああ盆踊りだな、と思う人はいるだろう。しかし、そこにほかの町会からの応援も加わった百人を超す踊り子の息づかいまで気がつくまい。
 それぞれの浴衣に身を包んだ男女は無言である。太鼓に気を取られている、どこかの誰かは、ぶつかり合うような踊り子のいることを知らない。
 須叟の間の人生にも、すぐそこにあるはずの楽園、あるいは真理に気がつかない。そういう見落としがあるに違いない。
    夏祭り踊る人みなうつくしき
 与謝野晶子の本歌取りである。

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