迎え盆の稲、堂々と


 13日は迎え盆。この家のご主人は、朝早く、利根川遊水地の田んぼに行き、ようやく穂の出始めた稲を抜き、盆棚に収めた。見事な稲は、農家の盆棚らしく、堂々とした姿を見せて、今年の豊作への願いも誇示している。
 ただし、ことしは梅雨が長引き、生育は少し遅れていると言う。まだ保存されていた昨年の稲を見せてくれたが、穂孕みが遅れているのが分かる。真夏日になった迎え盆、稲の生長も駆け足で持ち直すだろう。
 和尚さんは午後に見えると言う。午後4時ごろ、野菜を刻み米を混ぜたものを持って墓地に行く。帰りには提灯に火を入れて戻ってくる。
 そうか、よく分かった、と誰かが言うに違いない。そして付け加えるだろう。お前さんも故郷に帰り迎え盆をしなさいよ、と。
 ごもっとも。ごもっともだけれど…。

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