ちがふ乳房に逢ひにゆく

 「冬銀河」という真鍋呉夫さんの七句が、読売の夕刊に載っていた。やはり雪女が出てくる。
 真鍋さんが、句集『雪女』で読売文学賞を受賞したとき、真鍋呉夫書展が開かれた。平成5年6月、自筆句を展示即売していた。買った句集に一句、万年筆で書いてくれた。
  雷落ち峯からSが降りてくる
 Sに見えるけれど、本当は漢字なのかもしれない.Sとあれば、真鍋狂には即座に分かるのかもしれない。13年が過ぎた。その間、文芸誌の「群像」で、阿川弘之氏との対談を読んだだけである。阿川氏も、
  花冷のちがふ乳房に逢ひにゆく
のを心境をうらやんでいたようだった。
 句集名の『雪女』がいい。読売の句は、11月14日の夕刊である。このブログに縁ある人は、図書館で見られたい。句集から二句、ひかせてもらう。
  口紅のあるかなきかに雪女
  うつぶせの寝顔をさなし雪女
 そろそろ雪が降る。峯から降りてくるのは、雪女さんではないかなあ。