生け花、最後のショー


 おばさまたちに混じって、生け花を初体験した。話は数日後に飛ぶ。生け花の中に風船唐綿(フウセントウワタ)という緑色の4-5センチの球体があった。
 それが破裂し、中身が飛び出した。生け花から抜き出し、コップに独立させた。種子一つ一つが、軽やかな絹のような毛に包まれ、机上に着地し、あるいは飛んでいこうとする。タンポポのようでもあり、高貴な感じさえする。
 死は鴻毛より軽し、という不吉な言い回しを思い出した。鴻毛は知らないが、このフウセントウワタの種子よりも軽いものは無かろう。しみじみ眺めて、自然の摂理を思う。花は「隠された能力」、実は「いっぱいの夢」という花言葉があるそうだが、花は知らない。
 生け花には、ススキ、ホトトギスなどが生けられたが、ススキは早くも枯れススキ、ホトトギスも色あせて飛び去った気配。フウセントウワタが最後のショーを見せている。ときならぬ嵐が去って、秋は深まってきた。
 第三水曜日ごとの「なつかしい紙芝居と抹茶の集い」の10月13日は生け花の日だった。(ほのぼのプラザますお=7170-5570)

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