懐かしい下総玩具
色あざやかな張り子や首人形。資料室も開設
百歳を迎えた松本節太郎さん
松本さんの「百歳の個展」が開かれた真夏の一日、柏市旭町のギャラリー・ヌーベル本店を訪うと、小さくて懐かしい感じのするカラーフルな人形が店内を飾っていた。さらに2階の和室六畳の資料室には所狭しとばかりに陳列された人形500体が見学者を出迎える。
下総人形は、手びねりの土人形だけではなく、天神、虎、干支の動物などの張り子も多い。東京下谷の染物屋の四男として生まれた松本さんが始めたのは張り子人形だった。
柏に引越して首人形づくり
千葉市から来たという土屋綾子さんに資料室でお会いした。土屋さんは、袋物のシンなどの和紙を扱う足立にあった店の娘さんだったそうで、天日干しの張り子が乾いてから、松本さんが張子紙を買いに来られたという。昔の白木屋で七福神やフランス人形などの張子が売られていました、と。そして、戦後柏に引っ越した松本さんが「水が湧いているし、自然がいっぱいで、柏はいいところです」と言っていたそうである。その裏山の粘土が下総首人形になったことになる。
私の分身 作るのが楽しみ
3年前に、人形作りは終わりにするという最後の個展が移転前のギャラリー・ヌーベルで開かれたことがある。再開しての「百歳の個展」になったのだろうか。NHKテレビに出ていた松本さんはお元気そうで、「作るのが楽しみ、有名人ではないから何でも作る。これが私の分身」と語っていた。
松本さんが一代で創出した下総人形の後継者はいない。
ギャラリー・ヌーベル本店 TEL:04-7146-6800