すてきな うちって どんな うち


  柏市在住の洋画家長縄えい子さんが、スマトラ沖大地震に取材した、ゾウの活躍を描いた絵本「TSUNAMI(つなみ)」は、スリランカ・カンボジア・日本で出版されているが、同じ年に発行された、もう一つの絵本がある。
 「すてきなうちってどんなうち」である。主役はキツネである。自分のうちを建てようとする。キツネの表情がいい。
  すてきな うちって どんな うち
  やねは きつねの さんかく ぼうし
  かべは きつねの きつね いろ
 森の奥の空き地に、木を集め設計図を広げている。
 なにをやっているの、と森の動物たちが集まってくる。どんな家が出来たかが絵本のお楽しみである。
 ふと、賢治の「注文の多い料理店」を思いつく。森の中の西洋料理店 山猫軒のお話。関連はないけれど、似ているなあと思う。その最後を思いついたから、一つの絵本、一つの童話が浮んだのだろう。
 俺だって何か浮ぶよ。とは思うものの「…じっと手を見る」だけである。
        たけしま出版