会津八一の、漢詩の短歌訳
ボランティア記者をしている「柏ウイメンズ・ライフ」のコラムに、東博の「特別展 一木にこめられた祈り 仏像」の後期に登場した滋賀・向源寺の国宝十一面観音菩薩立像の感想を書き始めたが、会津八一の歌があるかと思い、『自注鹿鳴集』をひもどいて、曇りのち雨の冬の日が暮れた。歌はない。八一は向源寺には行っていないらしい。
十一面観音像としては、聖林寺、法輪寺、法華寺の歌があった。
巻末に、大正12年の「印象」というのがあり、漢詩を短歌で翻訳?した9首が載っている。「されど翻訳にあらず創作にもあらざるところ果たして何物ぞこれ予が問はんと欲するところなり」と書いている。
たかむら に かね うつ てら に かへり ゆく
きみ が かさ みゆ ゆふかげ のみち
漢詩の読み下しも掲載されている。
蒼々タル竹林ノ寺。
杳々トシテ鐘声晩(ク)ル。
笠ヲ荷ウテ斜陽ヲ帯ブ。
青山独リ帰ルコト遠シ。
井伏鱒二の「厄除け詩集」とは違う。