ハルキ文庫に童話シリーズ

  上野の国立子ども図書館にときおり寄る。正式には、国立国会図書館国際子ども図書館という。18歳以上という資料室がある。濱田広介の童話全集(集英社)もある。その中の「むく鳥のゆめ」の1編のプリントが欲しかった。
 2ページにまたがるが、まだ著者没後50年を経っていないので、著作権の決まりにより1ページしかプリントしてくれない。あとは筆写してきた。
 子どものむく鳥には、母がいない。風に揺れて木の葉が音を立てるのを、母が戻ってきたかと思う。冬が来て、一枚だけ残っている葉を落ちないようにする。子ども鳥は夢を見る。白い鳥が出てくる。優しく見ている。
 翌日、その葉には薄い雪がかかっていた。夢の白い鳥は、木の葉だったのだろう、と子ども鳥は思う。O’Henryを思い出させる一編である。
 ハルキ文庫に童話シリーズというのが出た。斉藤隆介、新見南吉、浜田廣介の童話集が680円で買える。廣介童話集は、二女の留美さんが解説を書いている。浜田広介記念館名誉館長である。