北関東の団らん思う「しもつかれ」
初午の頃になると、隣人から栃木の郷土料理「しもつかれ」をいただく。奥さんの生地の伝統が、山や畑や田をつぶして作られた首都圏の住宅地でも復活する。そして縁もゆかりもなかった者を楽しませてくれる。
その味わいは、一日では終わらず、暖めなおして三日ほど続くのである。
大根、正月に食べた塩引きの残り、酒粕、豆撒きの残った福豆、人参、油揚げなどの残り物を利用するという。しかし、みんな新しいもののようである。
大根は鬼おろしという、竹製の荒めのおろし器を使う。このおろし大根が主力である。だから全体が柔らかい。そこに塩引きがあり、人参があり、油揚げがある。全体が黄色っぽいところに、人参の赤が目立つ。
味は、さまざまだろう。いただくのは薄味、飽きが来ない。おかずとしても栄養価は万全のようである。たぶん、母親やおばあちゃんが、張り切っていっぱい作ったのだろう。北関東の空っ風が吹き、その下の団欒がしのばれる。ご馳走様。