大きな繭玉にあやかって


  近所の稲作農家では、今年も小正月に神棚に大きな繭玉を飾った。裏側の氏神様にも、枯山水の弁天様にも、クリの枝にさされた大きな餅が揺れている。
  右側に豊作だった稲穂が飾られていて、また新年の五穀豊穣を祈願されている。この稲穂がまだ緑色の早苗だったころ田んぼに連れて行ってもらった。
  緑は、たちまちに黄色となりこうべを垂れた。その、ほんの一部が神棚に堂々と飾られているのだ。毎年のことながら農家の感慨も深いものがあるだろう。
  一年の農作業が完結したところを参拝し、写真に収める。この私は、だれなのか。近所の分譲地に来た、縁もゆかりもない男なのだ。それを何かあると呼んでくれる。
  ちょっと思いすぎか。繭玉ではなくお供えのまゆだま飾りを、じっくり眺めてきた。我が家もあやかって、「五穀豊穣」の年にしてもらおう。