一本を二つ折りにする線香

  隣近所の数人で、納骨するという故人に線香をあげに行った。34歳という若さで亡くなった故人の写真を見ながら、お年玉をあげたのは、小学校のときだけだったかなと思う。
 線香をあげよう。わが家の仮仏壇では三本あげる。何本あげるか、故人の父親に聞く。一本です、二つに折って火をつけてください、と言われる。短めの線香を二つ折りであげると、火を灯す時間は短くて終わる。早すぎる気がした。
 神式の法事、創価学会の法事などの経験はあるけれど、線香二つ折りは初めてである。わが家の三本というのは、どこの習慣にもなじまぬ我流である。夫婦で毎朝6本。線香の灯っている頃に見える町会の役員さんに香りをほめられたことがある。6本では、仏壇の奥では煙いのかもしれない。

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