がらり変わったムンク感

  国立西洋美術館のムンク展は、あの愛・死・不安という絵を見せてくれたが、ムンクの「装飾性」に比重をかけた企画展だった。人間の絶望の叫びに見せてくれた画家という印象は吹っ切れる。
 個人の邸宅や大学の講堂、オスロ市の庁舎などに壮大な装飾画が描かれた。つまり壁画である。ある邸宅の子供向けの壁画を注文されたが、公園で抱擁する男女を描き加えたため拒否されたと言うものなど7枚を見ることが出来た。そこには絶望はなく明るい。
 オスロ庁舎の壁画には、これを描いたのが本当にムンクかと思われるような力みなぎる労働者の集団が登場する。ムンク感のガラリ変わった。