きれいな石、不思議な石と人間
自然石の美しさを賛美したのはロジェ・カイヨワ、さらに一歩進んで、なんの変哲ももない石ころの中に、ひっそり隠れているなにものかをめざとく見つけ、いたずら描きを加え、いきいきとした風景を出現させたのはブルーノ・ムナーリという、芸術新潮新年号の「ブルーノ・ムナリー入門」を読み、11月に京橋のINAXギャラリーで開かれた「石はきれい、石は不思議」展を思い出した。
カイヨワでもムナリーでもなく、石を愛した日本人は多い。INAXでは、津軽の海岸の石を拾う人たちの思いと、500個ほどの石を展示していた。波が打ち寄せた石だけを拾う、あとに来る人のために。後世の人のために石を拾い集める、という。
私の恩師は、河原の石を拾い、水引をかけて送ってくる、ペーパー・ウエイトにしなさいと。石には、言葉で言い切れない郷愁と憧憬がある。
さて、ムナリーとはどんな人か。雑誌に戻ろう。