やっぱり春は来る


 老人クラブのネットに春の花の咲き初めが報告される。チューリップ、ミモザ、そして早くも東京ド-ムの世界のラン展の華やかにしてにぎやかな世界が紹介されている。picasaという手法で何枚でもスライドショーで楽しめる。
 私は、ぐっと地味に、庭に咲き始めた沈丁花である。アズキ色のツボミが開いて白い花が咲く。アズキ色と白のコントラストがいい。白だけではさびしい。黄色い花もあるそうだが、それは沈丁花ではなく、鬼縛りだと、あるHPが言っている。
   下駄の緒が切れて路傍の沈丁花
 木山捷平の句。下駄と言うのがいい。大正・昭和初期の雰囲気。
   沈丁花は咲きあふれをり米は来ず
 加藤楸邨の句。いつのことだろう。配給米が途絶えたと言うことか。食うもののなかった戦時中の句か。歳時記は黙っているけれど、すごい世界に人をいざなう。 ともかく、わが家の沈丁花は健気に咲いてくれる。香りが人をいざなう。