浅間山よ、お前さんはきれいだなあ


   浅間山が噴火している。愛車を駆って出かけた友人が、白一色の浅間山の写真を送ってきた。はからずも子どもの頃を思い出している。
 ドーンと浅間山が噴火すると、子どもたちは、それっとばかりに外に飛び出す。群馬といっても最東南端、それに200メートルほどの山にさえぎられて浅間・妙義・榛名・赤城山はまったく見えない。東南には関東平野が広がっているだけである。
 それでも、ドーンと噴火の音がすると落着かない。飛び出して浅間山の方向を見ると、かすかに白い噴煙が見えるのである。きっと子どもの頃は小噴火が多かったのだろう。飛び出すのが遊び、楽しみの一つになっていたのである。
 200メートルほどの山がなかったら、赤城山の雄姿が見えたはずで、浅間の噴煙も拍手して見たことだろう。この山、金山(かなやま)は、新田義貞が旗上げし、鎌倉に攻め込んだ史実を持つ。
 白一色の浅間山の写真を見て、浅間よ、お前さんは、こんなにきれいな山だったのか、としみじみと眺めている。しみじみと子どもの昔を思い出す。