カシワモチに伝統はあるか


   柏餅の季節である。カシワの葉に包まれた餡を抱いた上新粉が、子どもたちを喜ばせる。
 その作り方がいっぱい紹介されている。「生地を手に取り楕円にし、手前を薄く、向こう側を厚くなるように広げ、餡玉を乗せて包む。合わせ目はしっかり閉じる」それを蒸す。出来上がったものをカシワの葉に包む。
 これが昔懐かしい柏餅だと思う。
 写真をご覧下さい。左側が、その模範的な柏餅、近所の和菓子屋さんで買ってきたもの。右側は、これも近所の店(千葉県でも有名な和菓子店の出店)で買ってきたものだが、まん丸、合わせ目などまったくない。お餅と同じである。大量生産で機械作りなのだろう。
 上新粉の味がして、結び目の見える左側がいい。柏餅の伝統が見える、味わえる。右側は伝統は消えかかっているけれど、「カシワモチ」には違いない。
 すきずきである。おばあちゃんが、ご健在ならば、作ってもらい、しかと味わっておくことである。