何かを感じた人と添ってみよ

  娘が、一冊で1キロを軽く超すような重い女性雑誌を3冊置いて行った。「グラツィア」「ヴォーグジャパン」「ドマーニ」。どこの国の雑誌かと見まがうほど。この重さでは立ち読みもできないだろうし、家で寝転んで読むのもムリだ。どの記事を読むように言われたような気もするが、どれだったか忘れた。モードのグラビア写真であるはずがない。
 あの姜尚中さんの「大人とは何か」というエッセイがある。第5回という講座らしい。「男と女の新しい関係性・おふたりさまのすすめ」となっている。
 「妻と知り合って35年ですが、夫婦でいてよかったと、今になってはっきり言えます。もちろん、何年一緒にいても、知ったつもりの相手には新しい発見があるし、それはいいこともあれば、そうでないこともある。歳月を経て見えるものものや得るものがある。人は変わってもいきます。けれど、何かを感じた人とは、添ってみる価値があると思います。」
 旅はして見なければ分からない。「結婚も同じ。失敗を恐れて正解をさがそうとしても、何も見出せないのですから。」ここで異星人のような読者は、わが結婚を思い、じっと手を見る。
 日曜日のNHK「日曜美術館」でお目にかかる姜さんだが、「35年間夫婦でよかった」という思いで見れば、また別の興味がわく。

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