月見患者も寂しいんだ

  柏市には「柏・麦わらぼうしの会」という朗読で原爆の悲惨さを伝え、戦争のない世界を訴えるグループがある。もう今年で13年目になるだろうか。ひたすら平和を朗読劇で伝える若い人たちである。もちろん原爆も戦争も知らない。広島弁も長崎弁も知らない。そこで「柏市被爆者の会」と交流して、被爆の実相を勉強している。
 例年通り、8月にアミュゼ柏で公演した。高校生も朗読に参加するなど、大きく様変わりしている。その公演に欠席した。毎年、感想を地元の婦人新聞に書いてきたが、今年はない。
 終了すると、感想をいい、出演者と話し合う場が設けられる。両者とも高揚している。演劇を見終わったら一人で月でも眺めたい(出ていなくてもいい)のが当方の心境である。出演者と握手でもして「ご苦労さま」というのはいい。そこで止めておかないと、何かが逃げる。逃げはしないか。感想の言い合い、アンケートへの書き込みなど遠慮したい!
 へそ曲がりか、偏屈か。それでは次回への公演の励みがなくなると言うか。
 たった一人の月見患者のために、麦わらは揺るぐことはない。

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