真珠湾底の、悲しい軍神

   真珠湾攻撃に参加した特殊潜航艇の最後の1艇が、湾底に沈んでいる。アリゾナを轟沈させたと言われた特攻潜航艇だ。
 NHK6日の「真珠湾の謎・悲劇の特殊潜航艇」」が、それを見せた。なんと三つに輪切りされていた。日本軍の潜水艦は真珠湾には侵入していない。海軍の不備が問題にならないようアメリカ側の意図が隠されていた!
 日本では、特殊潜航艇の軍人は、9軍神となって、戦果とともに宣伝され、国民の戦闘意識を鼓舞した。鼓舞されてしまったのは小学生だった私と、まだ20歳前の隣の次男だった。上に姉だけしかいなかった私は、その次男に兄のように付きまとっていた。
 県内に9軍神の一柱の実家があった。兄が言い出したのだろう、二人は見学?に出かけた。家の北側に小川が流れ、赤城の空っ風から家を包むような大木が繁っていた。太い白木の柱が建ち、軍神岩佐中佐(2階級特進で佐官に)と鮮やかに書かれていた。
 兄も私も家に入って焼香すると言う世間並みの常識はなかったらしい。それで満足して帰ってきた。軍神を拝んだような、近づいたような軍国少年の気分が横溢していたのだろう。

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